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名古屋高等裁判所 昭和54年(ネ)169号 判決

控訴人

後藤美智子

外二名

右控訴人三名訴訟代理人

小山齊

山田弘

被控訴人

マレーシア・エアライン・システム・バーハド

右代表者

ダト・スライマン・ビン・スジヤク

右訴訟代理人

林田耕臣

柏木俊彦

主文

原判決を取り消す。

本件を名古屋地方裁判所に差し戻す。

事実

控訴人ら代理人は、主文と同旨及び予備的に「原判決を取り消す。本件を東京地方裁判所に移送する。」との判決を求め、被控訴代理人は、「本件各控訴を棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の主張は、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

理由

本件記録中の登記簿謄本によれば、被控訴人は、マレーシア連邦会社法に準拠して設立され、同連邦国内の肩書地に本店を有する外国会社であるが、張玉祥を日本における代表者と定め、東京都港区新橋三丁目三番九号阪急交通社ビルに営業所を設けているものであることが認められ、本件は、控訴人らより被控訴人に対し、被控訴人運航にかかる飛行機の墜落事故による損害の賠償を、運送契約不履行を理由として訴求するものである。

従つて、わが国法上、右営業所所在地をもつて被控訴人の普通裁判籍所在地、控訴人らの住所地をもつて本訴請求にかかる義務の履行地というべきことは明らかである。

しからば、右普通裁判籍及び義務履行地の所在するわが国に、本件についての裁判権があることは条理上当然というべく、右義務履行地を管轄する原裁判所に提起された本件訴は適法のものといわなければならない。

してみれば、右と見解を異にし、わが国の裁判権に服しない不適法のものとして本件訴を却下した原判決はこれを取り消し、本件を原審名古屋地方裁判所に差し戻すこととし、民訴法三八六条、三八八条を適用して、主文のとおり判決する。

(三和田大士 浅野達男 伊藤邦晴)

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